GENETIC TEST

KRAS遺伝子検査について

  1. ルマケラスの投与にはコンパニオン診断薬(CDx)によるKRAS G12C変異陽性の確認が必要です。
  2. ルマケラスのCDxには「therascreen® KRAS 変異検出キット RGQ 「キアゲン」」と「Guardant360TM CDx がん遺伝子パネル」が承認されています。

ルマケラスのコンパニオン診断薬

ルマケラスのCDxには「therascreen KRAS 変異検出キット RGQ 「キアゲン」」と「Guardant360TM CDx がん遺伝子パネル」があります。初回治療の診断時からルマケラスの投与までのKRAS遺伝子検査のフローを示します図1

KRAS遺伝子検査のフロー:診断からルマケラスの投与まで1, 2)

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図1:「進行・再発非小細胞肺癌」→「オンコマインDxTT、AmoyDx肺癌マルチ遺伝子PCRパネル」→「EGFR変異、ALK融合遺伝子、ROS1融合遺伝子、BRAF V600E変異、RET融合遺伝子*1 、1METex14 skipping*2、NTRK融合遺伝子*1,2」→「遺伝子異常に基づく分子標的治療:一次治療」 「KRAS G12C変異」→「コンパニオン診断(therascreen KRAS変異検出キットRGQ「キアゲン」、Guardant360TM CDxがん遺伝子パネル)」→「二次治療」*1:AmoyDx肺癌マルチ遺伝子PCRパネルで検出されても、コンパニオン診断薬での確認が必要*2:オンコマインDxTTで検出されても、コンパニオン診断薬での確認が必要 上記のアルゴリズムに記載のない遺伝子変異で、オンコマインDxTT又はAmoyDx肺癌マルチ遺伝子PCRパネルで検出が可能なものについては、研究目的として医師の要望があった場合に参考情報として返却されます ただし、治療に関してその情報を使用することは制限されています。KRAS G12C変異に関しては、コンパニオン診断薬であるtherascreen KRAS変異検出キットRGQ「キアゲン」、Guardant360TM CDxがん遺伝子パネルにより確認します

検査の実施にあたっては、各検査の製品サイトや日本肺癌学会のガイドライン等をご参照ください。

各コンパニオン診断薬の概説

  • therascreen KRAS 変異検出キット RGQ 「キアゲン」

  • Guardant360 CDxについて

therascreen KRAS 変異検出キット RGQ 「キアゲン」(therascreentherascreen はキアゲン社の登録商標です。)は、リアルタイムPCR法により組織検体から抽出したDNAについて、KRAS遺伝子のG12C変異の検出が可能です 表1

表1 解析対象遺伝子3)

対象遺伝子 変異サブタイプ
KRAS G12C

図1therascreen KRAS 変異検出キット RGQ 「キアゲン」による検体採取から結果の返却までの流れ2)

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図1:検体採取FFPE標本作成:ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)検体を作製します。→DNA精製:専用のキット「QIA amp DNA FFPE Tissue Kit」を使用します。→KRASの検出:therascreen KRAS 変異検出キット RGQ 「キアゲン」を使用します。→解析結果報告:「ロータージーン Q MDx 5plex HRM」により実施します。

3)therascreen KRAS 変異検出キット RGQ 「キアゲン」承認時申請資料より作成

実際の手順、注意事項等についてはCDxの最新の添付文書等をご参照ください。

参考:アーカイブ検体基準について4)

アーカイブ検体を使用する際に推奨される検体基準が「ゲノム診療用病理組織検体取扱い規程」に以下のように記載されています。検体基準を満たしているかご確認の上、必要であれば再生検をご検討ください。

推奨される主な検体基準3)

  • 3年以内に作製されている検体であること
  • 腫瘍細胞含有率が各検査法の基準を満たしていること
  • 一般に遺伝子パネル検査に必要なDNA量は10~500ng
  • 中性緩衝ホルマリンを使用する
  • ホルマリン固定時間は6~48時間が望ましい

ただし腫瘍量や腫瘍割合については、使用する遺伝子パネルやNGS機器の種類によって異なることから、病理部門と相談して判断する

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図:アーカイブ検体を使用する際に推奨される検体基準「ゲノム診療用病理組織検体取扱い規程」より作成。アーカイブ検体なしの場合:新たに採取(再生検)→組織検体処理→検査依頼用スライド作製、アーカイブ検体ありの場合(推奨範囲外)の場合:新たに採取(再生検)→組織検体処理→検査依頼用スライド作製、アーカイブ検体ありの場合(推奨範囲内)の場合:検査依頼用スライド作製、4)一般社団法人 日本病理学会編;ゲノム診療用病理組織検体取扱い規程.2018,より作成

検査の実施にあたっては、各検査の製品サイトや日本肺癌学会のガイドライン等をご参照ください。

Guardant360TM CDx がん遺伝子パネルについては、進行固形がん患者の末梢血を検体とする、次世代シーケンサー(NGS)を用いたリキッドバイオプシー検査です。ルマケラスのCDxであり、その他、ALK、BRAF、EGFR、MET、MSI-High等74のがん関連遺伝子異常の検出が可能です4) 。組織を用いた検査に比較して低侵襲であり、組織検体の採取が困難な患者にも用いられます。

表1 解析対象遺伝子1,5)

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遺伝子異常 遺伝子
一塩基置換 AKT1、ALK、APC、AR、ARAF、ATM、BRAF、BRCA1**、BRCA2**、CCND1、CDH1、CDK4、CDK6、CDK12、CDKN2A、CTNNB1、EGFR、ERBB2、ESR1、FGFR1、FGFR2、FGFR3、GATA3、GNA11、GNAQ、HRAS、IDH1、IDH2、KIT、KRAS、MAP2K1、MAP2K2、MET、MLH1、MTOR、MYC、NF1、NFE2L2、NRAS、NTRK1、NTRK3、PDGFRA、PIK3CA、PTEN、RAF1、RET、RHEB、ROS1、SMAD4、SMO、STK11、TERT、TSC1、VHL
挿入/欠失 AKT1、ALK、APC、ATM*、BRAF、BRCA1**、BRCA2**、CDH1、CDK12、CDKN2A、EGFR、ERBB2、ESR1、FGFR2、GATA3、HNF1A、HRAS、KIT、KRAS、MET、MLH1、NF1、PDGFRA、PIK3CA、PTEN、RET、ROS1、STK11、TSC1、VHL
遺伝子増幅 ERBB2、MET
融合遺伝子 ALK、NTRK1、RET、ROS1

*病原性生殖細胞の異常のみが報告の対象となります。体細胞の異常は報告されません
**生殖細胞と体細胞の異常について報告が可能です

表2 KRAS遺伝子での解析対象変異サブタイプ5)

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対象遺伝子 変異サブタイプ
KRAS G10dup、A11_G12dup、N116H、K117N、K117F、K117R、D119N、D119H、G12A、G12C、G12D、G12F、G12R、G12S、G12V、G12E、G12I、G12L、G12W、G12_G13dup、G13A、G13C、G13D、G13E、G13G、G13R、G13S、G13V、G13H、G13dup、G12_G13insAG、V14I、V14L、A146P、A146T、A146V、A146S、A18D、L19F、Q22E、Q22K、Q22R、Q22L、I24N、D33E、P34L、P34R、I36M、K5N、K5E、T50I、T58I、A59E、A59G、A59T、G60R、G60D、Q61H、Q61K、Q61L、Q61R、Q61E、Q61P、E62K、S65N、S65I、Y71H、Y71C、T74P、R97K

図1 Guardant360TM CDxがん遺伝子パネルによる検体採取から結果の返却までの流れ●)

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●)Guardant360TM CDx がん遺伝子パネルTechnical Information(USA)(2021年5月)より作成

実際の手順、注意事項等についてはCDxの最新の添付文書等をご参照ください。

  • therascreen KRAS 変異検出キット RGQ 「キアゲン」

  • Guardant360 CDxについて

therascreen KRAS 変異検出キット RGQ 「キアゲン」(therascreentherascreen はキアゲン社の登録商標です。)は、リアルタイムPCR法により組織検体から抽出したDNAについて、KRAS遺伝子のG12C変異の検出が可能です 表1

表1 解析対象遺伝子3)

対象遺伝子 変異サブタイプ
KRAS G12C

図1therascreen KRAS 変異検出キット RGQ 「キアゲン」による検体採取から結果の返却までの流れ2)

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図1:検体採取FFPE標本作成:ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)検体を作製します。→DNA精製:専用のキット「QIA amp DNA FFPE Tissue Kit」を使用します。→KRASの検出:therascreen KRAS 変異検出キット RGQ 「キアゲン」を使用します。→解析結果報告:「ロータージーン Q MDx 5plex HRM」により実施します。

3)therascreen KRAS 変異検出キット RGQ 「キアゲン」承認時申請資料より作成

実際の手順、注意事項等についてはCDxの最新の添付文書等をご参照ください。

参考:アーカイブ検体基準について4)

アーカイブ検体を使用する際に推奨される検体基準が「ゲノム診療用病理組織検体取扱い規程」に以下のように記載されています。検体基準を満たしているかご確認の上、必要であれば再生検をご検討ください。

推奨される主な検体基準3)

  • 3年以内に作製されている検体であること
  • 腫瘍細胞含有率が各検査法の基準を満たしていること
  • 一般に遺伝子パネル検査に必要なDNA量は10~500ng
  • 中性緩衝ホルマリンを使用する
  • ホルマリン固定時間は6~48時間が望ましい

ただし腫瘍量や腫瘍割合については、使用する遺伝子パネルやNGS機器の種類によって異なることから、病理部門と相談して判断する

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図:アーカイブ検体を使用する際に推奨される検体基準「ゲノム診療用病理組織検体取扱い規程」より作成。アーカイブ検体なしの場合:新たに採取(再生検)→組織検体処理→検査依頼用スライド作製、アーカイブ検体ありの場合(推奨範囲外)の場合:新たに採取(再生検)→組織検体処理→検査依頼用スライド作製、アーカイブ検体ありの場合(推奨範囲内)の場合:検査依頼用スライド作製、4)一般社団法人 日本病理学会編;ゲノム診療用病理組織検体取扱い規程.2018,より作成

検査の実施にあたっては、各検査の製品サイトや日本肺癌学会のガイドライン等をご参照ください。

Guardant360TM CDx がん遺伝子パネルについては、進行固形がん患者の末梢血を検体とする、次世代シーケンサー(NGS)を用いたリキッドバイオプシー検査です。ルマケラスのCDxであり、その他、ALK、BRAF、EGFR、MET、MSI-High等74のがん関連遺伝子異常の検出が可能です4) 。組織を用いた検査に比較して低侵襲であり、組織検体の採取が困難な患者にも用いられます。

表1 解析対象遺伝子1,5)

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遺伝子異常 遺伝子
一塩基置換 AKT1、ALK、APC、AR、ARAF、ATM、BRAF、BRCA1**、BRCA2**、CCND1、CDH1、CDK4、CDK6、CDK12、CDKN2A、CTNNB1、EGFR、ERBB2、ESR1、FGFR1、FGFR2、FGFR3、GATA3、GNA11、GNAQ、HRAS、IDH1、IDH2、KIT、KRAS、MAP2K1、MAP2K2、MET、MLH1、MTOR、MYC、NF1、NFE2L2、NRAS、NTRK1、NTRK3、PDGFRA、PIK3CA、PTEN、RAF1、RET、RHEB、ROS1、SMAD4、SMO、STK11、TERT、TSC1、VHL
挿入/欠失 AKT1、ALK、APC、ATM*、BRAF、BRCA1**、BRCA2**、CDH1、CDK12、CDKN2A、EGFR、ERBB2、ESR1、FGFR2、GATA3、HNF1A、HRAS、KIT、KRAS、MET、MLH1、NF1、PDGFRA、PIK3CA、PTEN、RET、ROS1、STK11、TSC1、VHL
遺伝子増幅 ERBB2、MET
融合遺伝子 ALK、NTRK1、RET、ROS1

*病原性生殖細胞の異常のみが報告の対象となります。体細胞の異常は報告されません
**生殖細胞と体細胞の異常について報告が可能です

表2 KRAS遺伝子での解析対象変異サブタイプ5)

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対象遺伝子 変異サブタイプ
KRAS G10dup、A11_G12dup、N116H、K117N、K117F、K117R、D119N、D119H、G12A、G12C、G12D、G12F、G12R、G12S、G12V、G12E、G12I、G12L、G12W、G12_G13dup、G13A、G13C、G13D、G13E、G13G、G13R、G13S、G13V、G13H、G13dup、G12_G13insAG、V14I、V14L、A146P、A146T、A146V、A146S、A18D、L19F、Q22E、Q22K、Q22R、Q22L、I24N、D33E、P34L、P34R、I36M、K5N、K5E、T50I、T58I、A59E、A59G、A59T、G60R、G60D、Q61H、Q61K、Q61L、Q61R、Q61E、Q61P、E62K、S65N、S65I、Y71H、Y71C、T74P、R97K

図1 Guardant360TM CDxがん遺伝子パネルによる検体採取から結果の返却までの流れ●)

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●)Guardant360TM CDx がん遺伝子パネルTechnical Information(USA)(2021年5月)より作成

実際の手順、注意事項等についてはCDxの最新の添付文書等をご参照ください。

遺伝子パネル検査

ルマケラスの承認されたCDxではありませんが、「AmoyDx肺癌マルチ遺伝子PCRパネル(AmoyDxはAmoy Diagnostics社の登録商標です。)」をご紹介します

※ルマケラスの使用には「therascreen® KRAS 変異検出キット RGQ 「キアゲン」」または「Guardant360TM CDx がん遺伝子パネル」によるコンパニオン診断が別途必要です。

  • AmoyDx肺癌マルチ遺伝子PCRパネル
    について

  • オンコマインTM Dx Target Test
    マルチ CDxシステムについて

リアルタイムPCR法を用いた、既存のNGSを用いた方法よりも迅速に解析が可能な肺癌に特化したマルチ遺伝子診断薬です。KRASを含め、11のがん関連遺伝子異常の検出が可能です表1。本邦においてはALK、BRAF、EGFR、MET、ROS1の計5遺伝子のコンパニオン診断薬として承認されています表2

  

表1 解析対象遺伝子 青字はコンパニオン診断機能を持つ遺伝子(2022 年 8 月現在)5)

対象遺伝子
ALKBRAFEGFR、HER2、KRASMET、NTRK1、NTRK2、NTRK3、RET、ROS1

AmoyDiagnostics社プレスリリース(URL:http://www.amoydiagnostics.com/newDetail/82)より引用・作成

表2コンパニオン診断機能が承認されている薬剤 (2022 年 8 月現在)5)

遺伝子異常 関連する医薬品
ALK融合遺伝子 クリゾチニブ、アレクチニブ塩酸塩、ブリグチニブ
BRAF遺伝子V600E変異 ダブラフェニブメシル酸塩及びトラメチニブ ジメチルスルホキシド付加物の併用投与
EGFR遺伝子変異 ゲフィチニブ、エルロチニブ塩酸塩、アファチニブマレイン酸塩、オシメルチニブメシル酸塩
METエクソン14スキッピング テポチニブ塩酸塩
ROS1融合遺伝子 クリゾチニブ、エヌトレクチニブ

遺伝子パネル検査の実施にあたっては、ご使用になる遺伝子パネル検査の最新の添付文書等をご参照ください。

対象となるコンパニオン診断として、初回治療の診断目的で使用が可能な、アプリコンシークエンス法を用いたNGSです。KRASを含め、46のがん関連遺伝子異常の検出が可能であり表1、本邦においては非小細胞肺癌におけるALK、BRAF、EGFR、ROS1, RETの計5遺伝子のコンパニオン診断薬として承認されています表2。NGSのなかでも、オンコマインDxTTは施設要件に関する承認条件がないため、がん診療を行っているすべての医療施設において使用が認められています。

表1 解析対象遺伝子1,4) 青字はコンパニオン診断機能を持つ遺伝子(2021 年 11 月現在)

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遺伝子異常 遺伝子
DNA(遺伝子変異) AKT1、ALK、AR、BRAF、CDK4、CTNNB1、DDR2、EGFR、ERBB2、ERBB3、ERBB4、ESR1、FGFR2、FGFR3、GNA11、GNAQ、HRAS、IDH1、IDH2、JAK1、JAK2、JAK3、KIT、KRAS、MAP2K1、MAP2K2、MET、MTOR、NRAS、PDGFRA、PIK3CA、RAF1、RET、ROS1、SMO
RNA(融合遺伝子) ABL1、ALK、AXL、BRAF、ERBB2、ERG、ETV1、ETV4、ETV5、FGFR1、FGFR2、FGFR3、MET、NTRK1、NTRK2、NTRK3、PDGFRA、PPARG、RAF1、RET、ROS1

表2コンパニオン診断機能が承認されている薬剤 (2021 年 11 月現在)4)

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遺伝子異常 関連する医薬品
ALK融合遺伝子 クリゾチニブ、アレクチニブ塩酸
EGFR遺伝子変異 ゲフィチニブ、エルロチニブ塩酸塩、アファチニブマレイン酸塩、オシメルチニブメシル酸塩
BRAF遺伝子V600E変異 ダブラフェニブメシル酸塩及びトラメチニブ ジメチルスルホキシド付加物の併用投与
ROS1融合遺伝子 クリゾチニブ、エヌトレクチニブ
RET融合遺伝子 セルペルカチニブ

遺伝子パネル検査の実施にあたっては、ご使用になる遺伝子パネル検査の最新の添付文書等をご参照ください。

References

  1. 日本肺癌学会バイオマーカー委員会 編; 肺癌患者における次世代シークエンサーを用いた遺伝子パネル検査の手引き(2021年10月20日第2.0版)
  2. ルマケラス電子化された添付文書第3版(2022年11月作成)
  3. therascreen KRAS 変異検出キット RGQ 「キアゲン」承認時申請資料
  4. 一般社団法人 日本病理学会編; ゲノム診療用病理組織検体取扱い規程. 2018
  5. AmoyDx®肺癌マルチ遺伝子PCRパネル 添付文書(2022年8月 第4版)
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